「北欧対決」 トリノ3
ここまで主に日本選手の活躍ぶりを取り上げてまいりましたが、トリノ・オリンピックのしめくくりとして、私の大好きなアイスホッケーについて語らせていただこうと思います。
私がアイスホッケーという競技を知ったのは札幌大会の少し前だったと思いますが、札幌大会で目の当たりにした世界のトップレベルの闘いは「眩しい」の一語に尽きるものでした。
思い出の選手たちの名前を挙げるだけでもワクワクしますね。
優勝したソビエトには、カナダの「ホッケーの殿堂」に名前を連ねている、伝説のゴールキーパー、トレチャク、ミハイロフとハルラモフという名FWもいました。準優勝のチェコスロバキアにも、後にWHAという北米プロ・リーグに参加するネドマンスキーや、チェコのホッケーの歴史に残るフリンカ、他にもポスピシルをはじめとする名選手が揃っていました。(他の選手の名前、出てきません・・泣)チェコスロバキアと3ピリ途中まで0-0という激闘を演じたスウェーデンにはルンドストレム・ハマーストレムのFWコンビが思い出されますし、アメリカからは伝説の名FW、ゴーディ・ハウの息子で、後にWHAで親子でプレーする、マーク・ハウの16才!という若き姿もありました。
とにかくスピーディーで、カッコよく、プレーの一つ一つに感心するばかりでしたが、ただ一つ残念だったのは祖母の「ロシア嫌い」の影響をモロに受けて(笑)、ソビエトに反感を持っていたヤスシにとってはチェコスロバキアが優勝出来なかった事です。
さて、今回のアイスホッケーですが、ファンならご承知のとうり現在はプロ選手の参加が許されており、北米のプロリーグであるNHLが日程を中断して、トップレベルのプレーヤー達がそれぞれの国のプライドをかけて参加しております。
予選リーグで目立ったのはカナダ・チェコという金メダル候補を破ってリーグ2位になったスイスの快進撃でした!NHL所属選手は僅か3名でしたが、GKを中心とした堅い守備で歴史的な2勝を勝ち取りました。
スロバキアの5戦全勝での1位通過も見事でしたが、残念ながら1度も試合を観る事が出来ませんでした。(泣)
反対のグループではフィンランドも負傷した正GKに替わってゴールを守った、ニータマキ選手の好守と(大会MVPに選出されました。)スピード溢れる攻撃で5戦全勝、しかもその内の4試合が完封という快進撃ぶりでした。
トーナメントに入りNHLのお膝元である、カナダ・アメリカが初戦敗退したのに対して、チェコは予選リーグの低迷を振り払って3位を獲得、と明暗を分けました。カナダ・アメリカは共に最高のレベルのプレーヤーを輩出しながら、チームとしての結束力に欠けたように映り、コンビネーションが合っていなかったと思います。
チェコで惜しむらくは長野大会の金メダルの立役者で、国民的英雄のGK、ハシェクが初戦で負傷して、準決勝のスウェーデン戦で必要以上に失点を重ねた事でしょうか。
予選リーグの話題をさらった、スイス・スロバキアも準々決勝で力尽きたのは残念!の一語です。
さて、決勝は’94年大会に初優勝したスウェーデンと、’88に惜しくも銀メダルに終わったフィンランド、という「北欧対決」となりました。ヤスシ的には最も好きな2チームの対戦という、願ってもない顔合わせとなりました。
スウェーデンはスマートでスピーディーなプレースタイルで、札幌大会からの憧れのチームです。キャプテンのマッツ・スンディンは’91年にWOWWOWで放送された世界選手権当時から、チームの窮地を救う劇的なゴールをたびたび記録した、実に頼りがいのある選手で、今回もその勇姿を観る事が出来て大変幸せでした。
フィンランドは’88年頃から急速に力をつけてきたチームで、サイズはないものの、それを補って余りあるスピードとスキルの確かさは実に爽快で、特に今回は堅固な守備をベースに、33%という非常に高いパワープレイの成功率と相まって快進撃を続けてきた、注目のチームでした。NHLを観始めた頃から長く活躍し、’88年の銀メダルメンバーの唯一の生き残りである、テッポ・ヌミネンが健在であった事も嬉しかったです。
「宿命の対決」という言葉がありますが、アイスホッケーにおいてはスウェーデンとフィンランドは正に「プライドを賭けた闘い」であり、どんなにチーム力が離れていても毎回白熱した「死闘」を繰り広げる、歴史上のライバルなのであります。
今回はそれまでの闘いから見て、フィンランドが有利と思われましたが、終始ゲームを支配したスウェーデンが3-2のスコアでフィンランドを破りました。それまでの圧倒的なスピードで攻撃を展開するフィンランドのスタイルが影を潜めて、なかなかチャンスを作れなかった試合展開は、やはり宿敵スウェーデンを相手に必要以上に力んでしまった結果かなと思いましたが、最後まで予断を許さない1点差の拮抗した戦いぶりは見ごたえがあり、ファイナルに相応しいゲームだったと思います。
オリンピックが終わったと思ったら、野球の世界大会である、WBCがまもなく開幕しますね。
ヤスシの敬愛するマリーンズからはなんと8人もの選手を輩出しています。選手たちは口を揃えて「目標は世界一」を掲げていますね。その心意気やよし、であります。結果を恐れず納得のいくプレーで強豪に立ち向かって欲しいと思います。
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